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グラスの沼

Désir(デジール)開発秘話

日本の酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録され、国内外で日本酒や焼酎への関心が高まっています。その影響もあり、ワインやウィスキーを主に取り扱っていた高級レストランでも、焼酎が積極的に提供されるようになりました。

しかし、焼酎の魅力を最大限に引き出せるグラスはまだ多くありません。そこで今回は、焼酎の新たな楽しみ方を提案する専用グラス“Désir(デジール)”の開発秘話をご紹介します

Désir(デジール)とは

Désirは、本格焼酎の魅力を最大限に引き出すために生まれた特別なグラスです。日本を代表とするお酒である焼酎の香りや味わい、エレガントさを存分に楽しめるよう設計しました。

丸みを帯びたフォルムが香りを引き立て、繊細なステムが美しさを演出。まるで高級メゾンの香水を纏うような豊かな香りや、洗練された飲み心地を体験できます。すでに三ツ星レストランでも採用されるなど、焼酎の新しい楽しみ方を提案するグラスとして注目されています。

フィリップ氏が焼酎にかける想いとDésir開発の理由

Désirはシャンパーニュ界で最も影響力のあるソムリエの一人、フィリップ・ジャメス氏が本格焼酎に感銘を受けたことから誕生しました。

「テロワールを感じる…」フィリップ氏は鹿児島県を訪れた際、焼酎の豊かな香りや味わいに衝撃を受けます。

焼酎はウィスキーやウォッカなどの蒸留酒に比べルコール度数が低く、ストレートでも飲みやすいのが特徴です。そのため、お酒に強くない方や女性でも楽しめる稀有な蒸留酒といえます。

「焼酎の奥深さをより多くの人に知ってほしい」「焼酎のエレガントさを表現するグラスが必要だ」 その想いから、焼酎専用グラスDésirの開発がスタートしました。

Désirが引き出すべき本格焼酎の魅力とは

フィリップ氏は来日時に本格焼酎を飲み、専用グラスを造りたいと思うほどに焼酎に魅せられました。いったいなぜフランスのトップソムリエであるフィリップ氏が、焼酎の虜になってしまったのでしょうか?

ここではフィリップ氏も魅せられた、本格焼酎の魅力を紹介します。

本格焼酎の魅力①:味わいの多様性

本格焼酎の大きな魅力は、多彩な味わいにあります。焼酎は原料や製造方法によって、フルーティーで華やかなものから深みのある濃厚なものまで、幅広い風味を楽しめるお酒です。

例えば芋焼酎は甘く芳醇な香り、 麦焼酎は香ばしくスッキリした味わい、米焼酎はまろやかで上品な風味が特徴です。さらに黒麹・白麹・黄麹などの麹の違いが味わいに個性を生み、同じ原料でも焼酎ごとに異なる魅力を感じられます。

また熟成方法によっても風味が変化します。甕(かめ)で寝かせるとまろやかに、樽熟成するとウィスキーのような香ばしさが加わります。

このように、焼酎は原料・製法・熟成によって多様な味わいを表現できるのですDésirは、この複雑な味わいのニュアンスをしっかりと引き出せるよう設計されています。

本格焼酎の魅力②:一回蒸留で味わいを決める技術力

本格焼酎は“単式蒸留“によって造られます。単式蒸留は一度の蒸留で焼酎の風味が決まるため、 原料の個性や香りがしっかりと残るのが特徴です。

一方でウィスキーやウォッカなどの蒸留酒は“連続蒸留”を採用しています。連続蒸留は何度も蒸留を繰り返すことでアルコール度数を高めますが、原料の風味が薄まりやすい傾向があります。

本格焼酎は、一度の蒸留で素材の旨みや香りを最大限に引き出す繊細な技術が求められます。蒸留の温度や時間を微調整し、適切なタイミングを見極めることで、フルーティーで華やかな香りや深みのあるコクを生みだすのです。

この杜氏の高度な技術が生み出す複雑な味わいこそ、Désirが飲み手に伝えるべき重要な要素のひとつだといえるでしょう。

Désirのこだわりポイント

焼酎の魅力を最大限に引き出すためにDésirは、さまざまなこだわりを持ってデザインされています。

フィリップ氏がDésirを開発するにあたって意識したテーマは“願望”

焼酎の素晴らしい香りや味わいを深くまで探したくなる願望“、そして”焼酎の魅力をパートナーと分かち合いたくなるような願望“。これらの願望を引き出すがために、Désirの設計やデザインにはさまざまなこだわりをちりばめているのです。

こだわりポイント①:焼酎の味わいを引き立てる口元

Désirの口元部分は口によく馴染む薄はりのガラスで、唇のラインに自然に添うようにカーブを描いています。

唇に沿った自然なカーブにより唇とグラスが密着し、舌の中央手前に流れるように焼酎を運んでくれます。焼酎は蒸留酒のためいっけん重たい印象を持たれがちですが、流れるように口に運ばれる事で、湧き水のようにソフトな味わいに感じられるのです。

こだわりポイント②:まるで香水のような豊かな香りを感じられるボウル部分

Désirは、焼酎が本来持つ香りのポテンシャルを最大限に引き出せるように設計しています。

ボウル部分は球のように丸みを帯びた形状が特徴的です。ボウル部分が丸く膨らんでいるため、繊細な焼酎の香りをグラスに閉じ込められます。

グラス内に焼酎の豊かなアロマが充満するため、まるで香水のように豊かな香りを楽しめるのが魅力的です。グラスを口元に運ぶと、まるで焼酎の生産地に降り立ったかのようにテロワールを体感できることでしょう。

こだわりポイント③:星付きレストランやホテルでも愛される洗練されたデザイン

Désirは“凛とした自立した女性”をイメージしてデザインされた焼酎グラス

フィリップ氏は本格焼酎を飲んだときに、そのエレガントさから「世界中の女性が飲むべきお酒だ」と感銘を受けました。そのためデザインのイメージには、女性らしい美しさを採用しています。

女性がグラスを持ったときに美しく見えるように計算されたDésirは、上品な佇まいから星付きレストランやホテル、バーなどで愛用されています

Désirの魅力

最後に世界のトップレストランでも採用されている焼酎専用グラス“Désir”の魅力を紹介します。

焼酎の楽しみ方を提示するグラス

デジールはフィリップ氏が感動した焼酎体験を誰でも気軽に感じてもらえるように、焼酎の味わいや香り、エレガントさを引き出せるように設計しています。

そのため同じ焼酎でも普段のコップで飲むときとは一線を画す、飲み心地を楽しめるのです。

Désirに注がれた焼酎は、まるで香水。グラスに口を近づけた瞬間に高級メゾンの香水をふわっと纏ったかのような香りが鼻腔をくすぐり、今まで感じたことが無いほど深く焼酎の魅力を体験できるのです。

トップの品格を感じる洗練されたデザイン

Désirは女性がグラスを持ったときに美しく見えるように意識した、洗練されたデザインが魅力的です。

丸みを帯びた小ぶりなボウルからは4.5㎜-5㎜の繊細なステムがスラリと伸びた気品ある佇まいが、ドリンクや飲み手の美しさを際立たせます。

何を注いでも美しくオシャレに引き立ててくれるため、Désirにいつものお酒を注ぐだけで特別感を演出してくれることでしょう。

焼酎だけでなく幅広いドリンクを楽しめる

Désirは焼酎の魅力を引き出すために開発されましたが、蒸留酒の香りや味わいを引き立てる形状や洗練されたデザインも魅力的です。

そのため焼酎の魅力を最大限に引き出すのはもちろんのこと、ウィスキーやジンなどの蒸留酒、カクテル、お茶などのドリンクにもぴったりです。実際に焼酎というジャンルにとらわれず国内外のレストランやホテル、老舗のお茶専門店など、あらゆるジャンルのラグジュアリーなお店で採用されています

おわりに

これまで焼酎は国内でも喫飲する地域が限られるほどコアなお酒でした。しかし近年では焼酎のユネスコ無形文化遺産の登録や本格焼酎の誕生により、海外でも注目されるようになってきました。

しかし従来のコップでは、焼酎を飲みなれない方にとって魅力が伝わりづらい側面があります。そこで開発したのが焼酎専用グラス“Désir”です。

初心者の方でもまるでトップソムリエのように焼酎の香りや味わいを強く感じられるので、いつもの一杯が特別な時間に変わります。

Désirは焼酎の香りや味わいを最大限に引き出し、飲む人にとっても提供する側にとっても、新しい焼酎体験を生み出します。

これからの焼酎体験がもっと豊かで洗練されたものになるように。我々グラスバッカは、Désirがその一翼を担えたらと願っています