GLASSBACCA

CASE STUDY事例紹介

CASE #001

Philippe Jamesse氏による
日本酒専用グラス・陶器の開発

CLIENT Philippe Jamesse
YEAR 2020
CATEGORY オリジナルSPのオーダーメイド開発、OEM製造、物流

Philippe Jamesse氏

シャンパーニュ地方を代表する星付きレストラン「シャトー・レ・クライエール」のシェフ・ソムリエで活躍した後、2019年にシャンパンをはじめとしてワインの素晴らしさを世界中に広める為にDNA CHAMPAGNE&WINEを立ち上げる。ワインをより楽しむ為にはグラスにもこだわる必要があると考え、フランスのグラスメーカー「レーマン」でワイングラスを開発する。「最も洗練されたシャンパンのサービスをするソムリエ」として、 本場フランスのソムリエ界でもトップレベルの評価を得ている。2017年に日本酒に出会い、その奥深さに魅了され、現在は世界中に日本酒の素晴らしさを伝えることを取り組んでいる。


Philippe Jamesse氏とJTCの出会い

フランスで行われる日本酒品評会KURAマスターの泡部門の責任者を務めているフィリップ氏。日本の酒蔵を訪問し、蔵元と話しをしていく中で、より日本酒の魅力を引き出す為の日本酒専用のグラスを考案。だが、その特殊な形状ゆえの製法の難しさにより、作れるメーカーを探すことがなかなかできなかったところ、人の紹介を通じてグラス開発40年の歴史を持つJTCと出会います。フィリップ氏が日本酒蔵元向けセミナーの講演の為に来日した際に弊社と初の打ち合わせを行い、想いを共有できるパートナーとして弊社と製品開発をすることとなりました。

コンセプトと開発への想い

「全ての生命体や自然の摂理は球体という完全に調和された世界で出来ている、そして全ての源はその中心から生まれ出てきている。」というPhilippe氏の考えのもと日本酒という飲み物は、人の心、引き継がれた伝統、お米、水、土地、天気、全てのバランス・調和のもとに生み出されており、その素晴らしい日本酒に適したグラスを考えた時に、まず形を球体にすべきだと考えました。酒がまるでそこから生まれてきたかのように小さなへこみを中心に置き、球体にした器はその日本酒がもつ香りを存分に引き出す。そしてその香りと味わいを存分に楽しむ為に、口元を展開させ、口の中で広がるように器を設計しました。

開発の難しさ

ーグラスメーカーより
薄さ1mm程度のグラスを吹くことも難しいのですが、一番の難しさはグラスの底面に凹みをつけることでした。最初はグラスがやわらかいうちに押し棒を使って凹みをつけようとしましたが、周りのガラスが引っ張られて底面全体が歪んでしまいました。最終的にはグラスの強度に影響を与えない程度に、小さなドリルで凹みをつけ底面とはいえ、わずか2mm程度の薄さのグラスに凹みをつくることは非常に苦労し、メーカーとして対応力を試される製品でした。

ー陶器メーカーより
今まで製作した中で最も難しい形状であることに加え、底面に凹みをつけるという難題がありました。今回は出来る限り薄く作るというテーマがあった為、鋳込み成型は使えず、ロクロ成型で作ったのですが、中を球体にする為に、また底面の凹みをつける為に通常の2倍のサイズのコテを製作しなければいけませんでした。コテのサイズの調整は、型からぬけるかどうか1mmずつ削りながら行い、コテの調整だけで2週間以上かかりました。 薄さ、球体、底面の凹みを実現するのに、非常に技術がいる製品です。

Philippe氏がJTCをパートナーとして選んだ理由

ーPhilippe Jamesse氏より
今回の日本酒専用グラス・陶器の開発において、私が最も重要視したことは、日本酒がもつ全ての要素を引き出すことでした。水、土壌、天候、お米など、それぞれの日本酒がもつ魅力を引き出す為には、適切なグラスというのは必須アイテムです。JTCのメンバーと話をした時に、彼らがグラスに対して精通し情熱を持っていること、私が考えるグラスのコンセプトの想いを共有してくれること、そして形に込められた微妙なニュアンスを表現してくれることができると思いました。彼らとならば、よりこのグラスの開発を深めることができると確信したのです。