高級星付きレストランで学んだこと5つ
料理やワインが輝ける舞台である“レストラン”。
ワイン愛好家の誰しもが、レストランを訪れる際は胸が高鳴る様な気持ちになるのではないでしょうか?
筆者も無類のレストラン好きで、元々は星付きレストランでサービスマン兼ソムリエとして従事しており、心からレストランを愛しています。
今回の記事では、利用者側では感じとることが出来ない、サービスマン・ソムリエの視点での高級星付きレストランで勤務した時の学びについてご紹介します。
レストランやワインの現場の空気感を少しばかりのぞき見してみてはいかがでしょう。次にレストランを訪れる際にいつもと違った視点で、食事を楽しめるかもしれません。
常に驚き・楽しみを提供するホスピタリティの精神
初めて星付き高級レストランのソムリエ見習いとして入社した初日に驚いたことがあります。
それはランチ・ディナーの営業毎に30分程度のミーティングを設け、本日いらっしゃるお客様情報を確認することです。
アレルギーや食材の苦手などは勿論なのですがそれ以外にも確認することは盛りだくさん。
初めての方なのか、リピーターで最終来店はいつなのか、今日のお料理とメニューが被っていないかのを行います。なんど来ても驚きや楽しみを感じて貰えるよう料理人は頭を悩ましながら、来店毎に違うメニューを考えるのです。
サービスマンも同じで、以前飲んだワインや会話の内容、以前来店時の記念日などを確認し提供ワインの工夫や会話を弾ませるための情報を頭に叩き込みます。
レストランにいる全てのメンバーでお客様を全力でおもてなしするホスピタリティの精神には感動したのを今でもよく覚えています。
魅せ方
レストランを楽しむ際は、雰囲気も大切ですよね。
星付き高級レストランでは、お料理やワインを楽しむ空間づくりにも余念がありません。
料理やワインが美しく見えるようにお客様が座る一人ひとりの料理提供スペースにスポットライトをあてて、本日お客様をおもてなしする料理やワインをステージ上の演者のように輝かせます。
ピカピカに磨かれたグラスや料理が照明にてらされたときの美しさには、いつもうっとりさせられます。レストランでは、美術館や観劇を楽しむような感動・魅せ方を大切にしています。
環境を整える重要性
レストランは常に快適で心休まる場所である必要があります。
そのために、サービスマン・ソムリエは快適な空間づくりに営業時とほぼ同等の時間を費やします。実は一日の4~6時間程度は清掃やテーブルセッティングに時間を費やしています。
サービスマン・ソムリエは華やかな仕事に見えますが、営業時間の前後にも清掃したりピカピカに食器やグラスを磨いたりと準備に余念がありません。
徹底的に磨き上げられた空間で私たちは自信をもって料理やワインを振舞うことで、食を通じた極上の体験をお客様に提供できるのです。
料理やワインをプロデュースする
料理人や醸造家が魂を込めてつくり上げる最高の料理やワインたち。
サービスマン・ソムリエは、それらをベストな状態で提供するために、グラスやカトラリーのデザインを食事の雰囲気に合わせて、テーブルをコーディネートします。
日々研究を行い食器や温度、ある時は料理やワインの魅力を説明をしながら、料理やワインを最高に美味しく、美しく召し上がって頂けるよう工夫します。
気分はプロデューサー。サービスマン一同も魂を込めて最高の状態をつくり上げる努力を怠りません。
食・ワインで生まれる絆の力
レストランで沢山の食・ワインを通じて生まれる絆を見てきました。
ひとつのテーブルを共にし、最高の食事やワインを頂く。その中で今日という日を祝い、喜びや感動を分かちあうことで、たくさんのお客様が絆を深め合っていく様を目の当たりにしました。
食は生きるために必要不可欠な存在ですが、喜びや幸せを感じ大切な人との親睦や絆を深めるためのコミュニケーションツールとしても重要な役割を果たしているのです。
おわりに
今回は、筆者が星付き高級レストランに従事した時に学んだ、ホスピタリティの精神や食の喜びについてご紹介しました。
是非、皆さまもワインや食を通じてかけがえのない体験や幸せを大切な人と楽しみ人生を豊かにしてみてはいかがでしょう。