優雅なソムリエやサービスマンも師走は走り回る？表面下で戦うレストランの裏側

ワイン・グラスラヴァ―の皆さま、こんにちは。

クリスマスも目前に控え、「今年はレストランでクリスマスディナーを楽しもうかな？」と計画を立てている方も多いのではないでしょうか。

レストランは落ち着いた雰囲気を楽しむのにぴったりなスポットですが、働くスタッフの裏側はどのようなものか気になったことはありませんか？

今回は元星付きレストランに勤務していた筆者が、最繁忙期のレストランの裏側をご紹介します！

12月はレストランにおける最繁忙期

美しいお料理と素敵なサービスをうけ、ストレスなく優雅な食事の時間を楽しめる高級レストラン。

サービスマンの所作はゆったりと丁寧で無駄のない動きで食をサポートしてくれ、極上のひと時が楽しめますよね。そんな緩やかに時が流れているかのように感じるレストランも、12月は最繁忙期で現場は大忙しです。

特にクリスマスシーズンはレストランの集大成を発揮する期間で、料理の質やチーム力が問われます。

クリスマスシーズンのレストランの裏側

クリスマスシーズンは料理やテーブルの装飾小物は特別仕様になり、業務量は普段よりも増え、予約は連日満席になることが多いです。

もちろんクリスマスシーズンはたくさんのお客様が特別な一日を過ごそうとされるため、満席が続くことが多く常連顧客様からご新規のお客様までいろんな方々が訪れます。

12席のレストランが満席になれば最低でも1営業で24組のお客様がいらっしゃいます。

筆者が以前働いていたレストランでは、この席数規模でスタッフは見習いも含め30名ほど在籍していました。つまり1人のお客様に対し1人以上のスタッフが用意されていることになります。

「そこまで人員が揃っていれば楽勝だ！」と思われそうですが、そうはいかないのが現実です。早速、最繁忙期12月のレストランの裏側をのぞいてみましょう！

開店前は何をしている？

開店前は仕込みやテーブルセッティングを終えて、ミーティングで当日来店するお客様の情報を全スタッフに共有します。

お客様の苦手・アレルギーなどのNG食材のほか接待やデート、プロポーズなど利用シーンの確認を行いテーブルごとに接客スタイルや提供スピードなどを確認します。

テーブルごとのサプライズ用メッセージプレートの有無も確認し、当日すべてのお客様が満足できるようにスタッフ全員で作戦を練るのです。

余談ですが筆者が働いていたレストランでは、クリスマス当日はシャンパンで乾杯して英気を養ってから営業がスタートしました。

営業中の各セッションのお仕事

レストランにおいて最も重要な営業時間帯は、やはり全スタッフの気が引き締まる一番の踏ん張りどころ。

お客様に満足いただくためにはミスは許されません！少しのミスで組み立てていたプランがあっさりと崩れるので、細心の注意を払い急ぎながらも丁寧に仕事をこなします。

ここでは営業時のキッチン・ホールの各セッションのお仕事風景を紹介します。

キッチン

筆者の勤めていたレストランでは、キッチンスタッフは20名ほどいました。シェフとスーシェフ（2番目に偉い準シェフ）、パティシエ長がおり、17名ほどのスタッフに指示を出しながら現場を取り仕切ります。

クリスマスコース料理での提供で料理の品数は10皿前後。20名のスタッフがいるとはいえ、満席で24名のお客様がいれば240皿の料理を3時間程度の時間で提供することになり実は非常にハード。

もちろん盛り付けは丁寧に美しく、少しでも崩れていれば作り直しです。

ホールスタッフ

ホールスタッフは約10名いますが、うち2名はレセプション（受付）を務めるため実質ホールは８名。支配人とシェフソムリエが現場を指示し、ソムリエやサービスマンが連携をとりホールを駆け回ります。

240皿近くの料理の配膳に加え、12席10皿と約120回の料理説明を8名のスタッフでこなしていきます。

さらにお客様の殆どはワインペアリングを頼まれるので、200杯以上のワインを料理が提供される前に用意する必要もあり、パズルをこなしていくような目まぐるしさです。

閉店後は何をしている？

こうして22時頃に怒涛の営業時間が終了しますが、もちろん「お疲れさまでした」というわけにはいきません。

キッチンスタッフは次の日の料理の仕込みや調理器具と240皿分のお皿洗い、清掃業務が待っています。

ホールスタッフも200脚以上のワイングラスを磨き、店内清掃やテーブルクロス替えなど業務が盛りだくさん。

日付が変わる頃まで、次の日の準備に没頭します。

クリスマス営業が終わると…

1年最後の踏ん張りどころであるクリスマス。

クリスマス営業が終わると、数日後には長期休暇に入るレストランも多いです。それにを糧にスタッフは全力を出し尽くすので、クリスマス終了後はほんのりお祭りムード！

私の勤めていたレストランではシェフがスタッフ全員にクリスマスプレゼントを用意してくれており、営業後にケーキと共にささやかなクリスマスをスタッフと楽しみました。

レストランで働く誇りとやりがい

これまで繁忙期のレストランでの大変さをお話ししましたが、多くのレストランで従事するスタッフは誇りとやりがいをもって仕事に向き合っています。

自分たちのチームでつくり上げた最高の料理とサービスをお客様に提供し、幸せな笑顔や料理、サービスに関してお褒めの言葉を頂くことはこの上ない喜びです。

ぜひ皆さまも大切な日をレストランで過ごしてみて下さい！レストランのスタッフが全力で皆さまを喜ばせようとしてくれるはずですよ。