試作を重ねて誕生!試作グラスとの飲み比べで分かったSAKE TASTING GLASSの魅力とは
日本酒を愛する皆さま、こんにちは。
今回はGLASSBACCAが独立行政法人酒類総合研究所の開発協力を頂き、何度も試作した末にリリースしたSAKE TASTING GLASS(サケテイスティンググラス)の魅力を紹介します。
SAKE TASTING GLASSの魅力を紹介するために、今回はさまざまなグラスを用意してタイプの異なる2種の日本酒を飲み比べしていきます。
日本酒の基準をつくるために生まれたSAKE TASTING GLASS。他のグラスと比べて、どのようなところが優れているのでしょうか?
今回の飲み比べで使用するグラスを紹介
今回のテイスティングでは、日本酒を愛するすべての人へ捧げる日本酒評価用標準化グラス“SAKE TASTING GLASS”の魅力に迫ります。
SAKE TASTING GLASSは、日本唯一の公的な酒研究機関である独立行政法人酒類総合研究所からの開発協力を経て誕生したグラスです。リリースに至るまでに何度も試作を重ねて開発しました。
今回の飲み比べではSAKE TASTING GLASSと2種類の試作グラス、そしてワインのテイスティングで利用されるINAOグラス、リースリンググラスを使用します。これらのグラスでタイプの異なる2種の日本酒をテイスティングし、味わいや香りの変化を比べてみましょう!
今回飲み比べをする日本酒を紹介
今回はタイプの異なる2種の日本酒を飲み比べて、それぞれのグラスごとの違いを確認してみましょう。SAKE TASTING GLASS(サケテースティンググラス)を試すにあたり、飲み比べに使用する日本酒を紹介します。
三千盛 純米大吟醸
1本目は江戸時代後期から約200年続く老舗酒蔵・三千盛が手掛ける、『三千盛 純米大吟醸』。
戦後から愛されている“辛口”のスタイルを変えることなく、現在でも当時の伝統の味を守り続けています。落ち着きのある吟醸香と柔らかなうまみ、キレのある酸のバランスが素晴らしい、クラシックな日本酒です。
北雪 純米大吟醸 NOBU
2本目の日本酒は、日本だけでなく海外進出を行っている北雪酒造が手掛ける『北雪 純米大吟醸 NOBU』です。
北雪 純米大吟醸 NOBUは、5大陸に30数店舗を構えるレストラン“NOBU”の日本酒。世界中で愛され、セレブやSAKEファンを魅了しています。華やかな香りとフルーティーな味わいが特徴的な、モダンなスタイルの日本酒です。
2種の日本酒をテイスティング
実際に2種の日本酒をさまざまなグラスを使ってテイスティングしていきます。グラスの形状によりどのような変化が生まれるのでしょうか?
INAOグラス
最初にINAOグラスで日本酒をテイスティングします。INAOグラスとはフランスの国際標準化機構(ISO)に準拠したテイスティンググラスのことで、産地や品種の異なるワインを全て同じ条件でテイスィングするために開発されました。
ソムリエ試験やワインの品評会などではINAOを使うのが基本です。INAOグラスはワインのテイスティングに優れたグラスですが、日本酒と合わせるとどのような表情を見せるのでしょうか?
INAOグラス×三千盛 純米大吟醸
まずはワインのテイスティングに適したINAOグラスで『三千盛 純米大吟醸』をテイスティングします。
香りは控えめで、アルコールがツンと鼻を刺激します。口に含むと三千盛 純米大吟醸らしいキレのある酸が際立ち、かなりスッキリとした印象です。
キレのある味わいは綺麗に表現されているものの、三千盛 純米大吟醸の魅力である柔らかさや深みがなく素っ気ない日本酒に感じました。
INAOグラス×北雪 純米大吟醸 NOBU
次に華やかな香りやフルーティーさが自慢の『北雪 純米大吟醸 NOBU』をテイスティングします。
香りは控えめで、和梨のような果実味が感じられます。ボリューム感は穏やかで、すっきりとした味わいです。
『三千盛 純米大吟醸』同様にアルコール感が強く、余韻にほろ苦い味わいが広がります。日本酒特有の米の甘みやふくよかさは感じられず、かなりドライな印象です。
リースリンググラス
リースリンググラスは、白ワインに適したワイングラスです。
近年では日本酒もワイングラスで合わせて美味しいタイプがあり、“ワイングラスでおいしい日本酒アワード”というコンテストが催されるほどです。特に白ワインのように華やかな特徴を持つ『北雪 純米大吟醸 NOBU』には、期待が高まります。
リースリンググラス×三千盛 純米大吟醸
『三千盛 純米大吟醸』をリースリンググラスで試してみると、INAOグラスに比べてやや香りが広がりました。香りがとりづらい日本酒ですが、ボウルがINAOグラスに比べて大きいので感じとりやすくなったのでしょう。
三千盛 純米大吟醸の最大の魅力ともいえる、米のうまみや甘さもやや感じられるようになりました。ただしアルコールのツンとした刺激は健在で、やや飲みづらい印象です。
INAOグラス×北雪 純米大吟醸 NOBU
次は『北雪 純米大吟醸 NOBU』をリースリンググラスで試してみましょう。香りはINAOグラスに比べて非常に強くなり、華やかな梨のアロマが感じられます。
ほんのりと糠のようなオフフレーバーやピリッとした刺激が感じられるのが残念ですが、ほんのりと米のうまみも感じられグラスと相性がよいと思いました。
SAKE TASTING GLASSの試作グラス
次はSAKE TASTING GLASSを開発するにあたって、複数回にわたり試作されたグラスを使ってテイスティングしてみます。
現行のSAKE TASTING GLASSとは、どのような違いが現れるのでしょうか?早速、試してみましょう。
試作グラス①×三千盛 純米大吟醸
ボウル下部が膨らみ口の部分がすぼまった試作グラス①は、グラス内に香りが溜まりやすく『三千盛 純米大吟醸』の控えめな香りを引き出してくれます。芳醇な米のうまみと香りが感じられる、こっくりと美味しい日本酒だと感じました。
ただし、脚の部分が短めなのでスワリングをしにくいのが欠点。スワリングができれば、より芳醇なアロマが楽しめそうだと惜しく思いました。
試作グラス②×三千盛 純米大吟醸
次は試作グラス②でテイスティングします。試作グラス①の欠点を改良したグラスで、先ほどに比べると脚が長くなりスワリングしやすくなりました。
試作①に比べると香りは、控えめな印象に感じます。アルコール感が和らぎ酸は締まっているので、バランスがよく三千盛 純米大吟醸の魅力がしっかりと感じられました。
試作グラス③×三千盛 純米大吟醸
試作グラス③は、ボウル下部が膨らみくびれのある形状が特徴的です。くびれがあるためボウル下部に香りが溜まりやすく、グラスを口元に運ぶと香りがしっかりと感じられます。
『三千盛 純米大吟醸』は香りが穏やかな日本酒であるにも関わらず、米や熟成の香りが豊かに広がり贅沢な気分を楽しめました。
試作グラス①×北雪 純米大吟醸 NOBU
次は『北雪 純米大吟醸 NOBU』で、試作グラスを試してみます。試作グラス①に注ぐとりんごのような華やかなアロマが広がり、INAOグラスに比べて香りがしっかり感じられます。
香りは華やかなのに米の甘みは弱いため、香りと味わいのギャップを感じました。もう少し甘みが強く感じられると、華やかな酸とのバランスが取れよりおいしく感じられそうです。
試作グラス②×北雪 純米大吟醸 NOBU
次は試作グラス②でテイスティングします。
香りは甘やかで桃のようなフルーティーなアロマがグラス中に漂います。一口飲むとしっかりとした甘みが感じられ、濃厚で力強い印象です。
これまでテイスティングしたグラスでは全く感じ取れなかった、華やかなアロマと甘み、力強さが楽しめました。程よい酸が全体を引き締め、バランスの取れた日本酒の味わいが魅力的です。
試作グラス③×北雪 純米大吟醸 NOBU
最後に試作グラス③を使って、『北雪 純米大吟醸 NOBU』をテイスティングします。
試作グラス②の力強い甘みに比べて、試作グラス③では程よい甘みに変化しました。淑やかな酸とりんごのようなフルーティーなアロマがありながらも、日本酒らしいコクも感じられるバランスのよい仕上がりです。
SAKE TASTING GLASS(サケ テイスティング グラス)
ここまでINAOグラスとリースリンググラス、SAKE TASTING GLASSの試作グラスで2種の日本酒を飲み比べしました。
SAKE TASTING GLASSは日本酒の専門家が意見を出し合い、改良を重ねて誕生したグラスだけあり試作を重ねるごとに日本酒の魅力が引き立つように進化しています。
それではリリースに至った現行のSAKE TASTING GLASSを使うと、これまで飲んだ日本酒はどのような表情を見せてくれるのでしょうか?早速、2種の日本酒をテイスティングして確かめてみましょう。
SAKE TASTING GLASS×三千盛 純米大吟醸
香りが穏やかで、キレのある酸と柔らかな米のうまみが魅力的な『三千盛 純米大吟醸』。SAKE TASTING GLASSで飲むと、どんな表情を見せてくれるのでしょうか?
グラスから立ち込めるアロマは熟成によるふくよかな香りが主体です。今まで表れなかった吟醸香もほんのり感じられます。
味わいはこれまで試したグラスの中でも最もソフトな印象で、米のうまみがふわりと広がっていくようです。香りやうまみ、甘みのバランスが最もよく、三千盛 純米大吟醸の魅力が最も体現された品のよい味わいを楽しめます。
SAKE TASTING GLASS×北雪 純米大吟醸 NOBU
最後にSAKE TASTING GLASSで、『北雪 純米大吟醸 NOBU』をテイスティングします。
メロンや桃、りんごを思わせるフルーティーなアロマが魅力的で、吟醸酒らしい華やかな吟醸香が存分に感じられます。甘みはしっかり感じられるものの強すぎず、酸と綺麗に調和しておりなんとも上品な味わいです。
純米大吟醸らしい吟醸香やすっきりとした味わいがありながらも、ボディ感もしっかりておりバランスの良さに驚かされます。
さすがレストラン出身の日本酒。「レストランで飲みたい特別感のあるリッチな日本酒」だと感じました。SAKE TASTING GLASSはまさに北雪 純米大吟醸 NOBUが伝えたい味わいを、しっかり表現しているように思います。
SAKE TASTING GLASSは造り手が表現したい味わいをそのまま反映する鏡のようなグラス
今回はINAOグラスとリースリンググラス、試作グラスを使用して、SAKE TASTING GLASSとの飲み比べを行いました。
さまざまなタイプのグラスでテイスティングすると、醸造家が語る日本酒像に最も近い味わいを引き出したのはどちらもSAKE TASTING GLASSでした。しかも2種の日本酒は味わいのタイプが全く異なるのにも関わらずに。「なるほど、これが日本酒評価用標準化グラスということなのか…」と思わず納得させられました。
SAKE TASTING GLASSであれば造り手の表現したい味わいを体感できるので、品評会などのテイスティングでも公正なジャッジが行えます。品評会で醸造家が評価するグラスに寄せて味わいや造り方を変える必要もありません。
また品評会やセミナーなどのオフィシャルなシーンはもちろん普段使いにもぴったりです。和食にはワイングラスのような背の高いグラスは合わないとされていますが、SAKE TASTING GLASSは絶妙な高さのグラスで日本の食卓によく映えます。日本酒がもつ本来の味わいや香りを楽しめるため、日本酒愛好家は一度使うと手放せなくなること間違いありません。
SAKE TASTING GLASSは造り手の表現したい味わいを雄弁に語るので、日本酒のプロフェッシャルはもちろん今後日本酒を勉強する方や楽しむ方、日本酒を愛するすべての方に手に取ってほしいグラスです。