職人の腕が光る!今を煌めくハンドメイドグラスで飲み比べ ―白ワイン編―
ワイン・グラス愛好家の皆さま、こんにちは。
食卓に旬の食材が並び、栗・きのこ・りんごなどの野菜やフルーツ、秋刀魚などの魚介類が美味しい季節となりましたね。
お野菜系の料理やお魚といえば、やはり辛口の白ワインがよく合います。今回は、秋の食材にぴったりな爽やか系の辛口白ワインをご用意しました。前回の記事と同様に白ワインもハンドメイドグラス2種で飲み比べをしたのでグラスごとの味わいの変化やおすすめのグラスを紹介したいと思います。
白ワインに適した2社のグラスは、それぞれワインをどのように表現してくれるのでしょうか?
前回は同様のコンセプトでアメリカ産のピノ・ノワールを2社のハンドメイドグラスで飲み比べしておりますので気になった方は是非こちらもご覧ください。
前の記事はこちらから
職人の腕が光る!今を煌めくハンドメイドグラスで飲み比べ ―ピノ・ノワール編―
比較対象するグラス2種の紹介
今回の比較では、ハンドメイドの製法で製造された2種類のグラスを使用します。
使用するグラスは、上写真の2脚です。
左側のグラス:シドニオス テロワール アンプラント
右側のグラス:ザルト ユニバーサル
テイスティングするワインは、イタリア・ヴェネト州を代表とするワイン『ソアーヴェ』。ガルガーネガ種のぶどうを70%以上使用してつくられます。“心地よい”という意味をもつワインで、ハーブのような爽やかな香りと青りんごのような上品な酸が体に染み入る心地よさをもったリラックスタイムやデイリーワインにぴったりの白ワインです。
赤ワインで試したときは味わいの変化に大きく差が出ましたが、今回はどのような結果になるのでしょうか?早速、飲み比べて検証してみようと思います!
ザルト ユニバーサル
まずは、14世紀から技術を引き継ぐオーストリアの伝統的なワイングラスメーカー・ザルトのユニバーサルグラスでテイスティングしてみます。こちらのユニバーサルグラスは、厳密には白ワイン専用のグラスではなく白・赤ワインに対応した万能グラスとしてリリースされた使い勝手の良い一脚です。
個人的には気軽にいろんなワインと合わせて楽しめるところが魅力的に感じています。「とりあえず迷ったらユニバーサル!」みたいな使い勝手の良さが気に入っています。
ワインをグラスに注ぐと、レモンを思わせる酸の際立つアロマが鮮明に感じられました。味わいも豊かな酸が魅力的で、非常にさっぱりとした印象。辛口白ワインが好きな人に好まれる味わいです。
ソアーヴェらしいデイリーワインにぴったりな、小気味よい酸が味わい・アロマに表現されていました。程よい酸のニュアンスが魅力的に感じましたが、少し単調な印象なのでお食事と合わせて楽しみたいところです。秋刀魚の塩焼きや唐揚げなどの揚げ物とよく合いそうなので、お食事も用意すればよかったなと感じました。
シドニオス テロワール アンプラント
お次は、2018年にフランスで生まれたハンドメイドグラス界の新星・シドニオスのテロワール アンプラントでテイスティングしてみます。
シドニオスはトップシャトーとネゴシアンをつなぐワイン商が、「ワインのポテンシャルを最大限に引き出して欲しい」というトップシャトーの要望に応える形で制作されました。ボルドー大学チームと80名越えのプロのワインテイスターが、共同で最もワインが美味しく感じる比率を追求・研究して生まれた黄金比のグラスです。
その素晴らしさが認められ、メドックの格付けシャトー61社のうち40社がシドニオスのグラスをテイスティンググラスとして採用しています。緻密な研究の末に生まれた洗練されたワイングラスで、ワインの良いところを引き出す表現力の高さが魅力的です。
こちらのグラスはすっと伸びるエレガントなステムと、薄くて口当たりの良いリムの部分がお気に入り。芸術品のような美しいビジュアルや繊細さ、口当たりの良さが魅力的でリーズナブルなテーブルワインもワインランク上のワインのように感じられます。リッチな気分を味わいたいときや癒やされたいときによく使用する筆者愛用のグラスです。
ワインをグラスに注ぐと、レモンや青りんご、ミントの爽やかなアロマと可憐な白い小花のような華やかな香りが鼻腔ををくすぐります。酸はザルトのユニバーサルで飲んだときに比べて、やや穏やかでソフトな印象で香りの要素は多く感じられます。まさに、ソアーヴェの名前に相応しい心地よさを感じられる癒やし系のワインだと感じました。
お食事と合わせてもいいですが、酸が柔らかく香りが豊かなのでワイン単体でも十分楽しむことが出来ました。温度が上がると、新たなアロマが顔を出し表情豊かな少女のような可愛らしさが感じられます。
おわりに
今回はハンドメイドグラス2社のグラスで、イタリア・ヴェネト州のソアーヴェをテイスティングしてみました。
形状は似た傾向にありますがボウルの経・高さ、ステムの直径の比率など、わずかな違いにより味わいや香りの広がりに大きな差が出るということが分かりました。
今回テイスティングで使用したソアーヴェもグラスの違いにより大きく味わいが異なりましたね。ザルトのユニバーサルだとすっきりフードライクな印象のワインで、シドニオスのテロワール アンプラントでは酸が穏やかでアロマティックな印象のワインと異なる雰囲気が感じ取れました。
どちらもそれぞれの良さがあるため、気分によって使い分けするのもおすすめです。どちらも魅力的ですが、どちらか一方を購入するのであれば個人的にはアロマの複雑さを楽しめたシドニオスのグラスに軍配が上がりました。
皆さまは、どちらのグラスを試してみたくなりましたか?
是非ワインを楽しむときにはワイングラスにもこだわり、自分好みのワインの魅力を引き出すグラスを選んでみてはいかがでしょうか。