GLASSBACCA

グラスの沼

新しい日本酒評価用基準化グラスSAKE TASTING GLASS体験レポート

ワイン品評会ではINAOグラスという国際規格のテイスティンググラスを使用します。しかし日本酒の品評会では、ワインと異なりさまざまなグラスが用いられ日本酒の基準があいまいになってしまいがちでした。

そこでグラスバッカは日本唯一の公的なお酒の研究機関である「独立行政法人酒類総合研究所」と共同研究し、日本酒のテイスティング時の基準となる“SAKE TASTING GLASS”を開発しました。

今回の記事ではSAKE TASTING GLASS(写真左)とINAOグラス(写真右)を使用し、日本酒を飲み比べします。

SAKE TASTING GLASSは、INAOグラスとは異なる味わいを紡ぎだすのでしょうか?新しいグラスのポテンシャルをぜひ、一緒に確認してみましょう。

今回テイスティングする日本酒

今回テイスティングする日本酒を紹介します。

まず1種類目(写真左)は、『甲子 純米 やわらか 地の恵』。五百万石を使用した、まろやかな口当たりが魅力的な千葉の日本酒です。地下水を仕込水とし、米と米麹のみで仕込んだシンプルな米の旨みが楽しめる逸品です。

そして2種類目(写真右)が、『よこやま 純米吟醸 SILVER 7 生酒』。全量特等山田錦を使用した搾りたて生酒。まるで白ワインを彷彿とさせる、フレッシュ&フルーティーな日本酒です。

今回はタイプの異なる日本酒を用意しましたが、どちらもワイングラスで飲むことを推奨されています。

SAKE TASTING GLASS&INAOグラスの日本酒テイスティング

テイスティングする銘柄を紹介したところで、さっそく飲み比べを始めていきます。今回はまろやか系と爽やかフレッシュ系のタイプ異なる日本酒を用意しましたが、それぞれグラスの変化によりどのような違いが現れるのでしょうか?

テイスティング①:甲子 純米 やわらか 地の恵

まずは『甲子 純米 やわらか 地の恵』をテイスティングします。

INAOグラスに注いでみると、甘酒のような香りが感じられます。味わいは米の旨みをしっかりと感じるまろやかな味わいで、素朴な日本酒という印象です。

かなりソフトな味わいのため、ややぼんやりとした印象がありました。

次にSAKE TASTING GLASSで試してみます。香りはINAOグラス同様に甘酒のような柔らかさを感じられますが、今回の方が酸がはっきりと感じられすっきりとした印象です。

テイスティングしてみるとまろやかな米の旨みとともに、引き締まった酸が感じられキリッとした味わいが感じられます。味わいにメリハリが生まれており、先ほどの素朴な味わいから一変しエレガントな印象に変化しました!

INAOグラスに比べSAKE TASTING GLASSは、酒質の美しさが際立ち繊細な香りや味わいが感じとれるため日本酒のポテンシャルをより一層引き出しているように思います。

テイスティング②:よこやま 純米吟醸 SILVER 7 生酒

お次は、『よこやま 純米吟醸 SILVER 7 生酒』です。

最初はNAOグラスでテイスティングしてみます。グラスに注ぐと甘酒と和梨が混ざりあう、まろやかでフルーティーな香りが漂います。味わいはお米の柔らかな甘みとほどよい酸が感じられ、バランスのよい仕上がりです。

お次にSAKE TASTING GLASSで、テイスティングしてみます。INAOグラスに比べて香りが複雑で、和梨の甘やかなアロマが強まりリッチな印象です。

味わいはキレが増し、涼やかで上品。

SAKE TASTING GLASSで飲むよこやま 純米吟醸 SILVER 7 生酒は、お米のまろやかな甘みとフレッシュな酸のコントラストが楽しく、さまざまな表情を引き出してくれました

SAKE TASTING GLASSのおすすめポイント

今回の記事ではグラスバッカと独立行政法人酒類総合研究所が共同開発した、日本酒のためのテイスティンググラス『SAKE TASTING GLASS』を体験しました!

最後に筆者が実際にSAKE TASTING GLASSを体験し、感じたおすすめポイントを紹介します。

おすすめポイント①:繊細なアロマが感じとりやすい

SAKE TASTING GLASSは、ボウルにくびれがリム部分が広がっている形状がポイントで日本酒特有の繊細なアロマが感じとりやすくなっています。

実際にフルーツなどの繊細なアロマはSAKE TASTING GLASSの方が強く感じられました

おすすめポイント②:口当たりがよく口に含む量がコントロールできるこだわりのリム

SAKE TASTING GLASSのリムは唇にぴったりフィットする形状で、口当たりがよいところが魅力的です。

またテイスティングする上で、飲み比べするときは口に含む酒量を一定にする必要があります。広がるような形状のSAKE TASTING GLASSは口に含む酒量をコントロールしやすいため、公式な場でテイスティングする場合にぴったりです。

おすすめポイント③:ワイングラスのようなスワリングに最適なステム

日本酒グラスは日本の食卓にマッチした、短いステムのグラスや脚なしグラスが多いです。しかしSAKE TASTING GLASSは、スワリングしやすい形状を意識して造られています。そのためテイスティングするときに、香りをスムーズにとれるように工夫されています。

おわりに

今回はINAOグラスとの飲み比べをしながら、新しい日本酒評価用基準化グラス『SAKE TASTING GLASS』の体験をしました。

多くの専門家の方の意見を取り入れながら、試作を繰り返したSAKE TASTING GLASS。日本酒だけにフォーカスして造られており、繊細な香りや味わいをより鮮明に感じとれるグラスとなっていました。

日本酒に携わるプロフェッショナルの方はもちろん、日本酒愛好家の方にもぜひ体験していただきたいグラスです!