CASE#008
デザイナーのこだわりを、量産品質へ。
“道具として使える ”ダブルウォールグラス開発インタビュー

OEM CASE STUDY #008| LIFEWORKPRODUCTS(&design)様

LIFEWORKPRODUCTS 様が開発されたのは、日常の中で自然に使えるダブルウォールグラス。一般的なダブルウォールグラスに多い丸みのある形状ではなく、直線的なラインを活かした、シンプルでごまかしのきかないデザインです。
今回の開発では、形状、口当たり、色展開、ロット、コスト、品質管理など、さまざまな条件を一つずつ整理しながら進めていきました。GLASSBACCA では、工場との調整、試作確認、現地での品質確認まで伴走。
その過程について、 LIFEWORKPRODUCTS 様にお話を伺いました。
北川 大輔 | Daisuke Kitagawa DESIGN FOR INDUSTORY INC./ Founder / Designer

滋賀県生まれ。 2005 年に金沢美術工芸大学を卒業。家電メーカーを経て、 2015 年に株式会社 DESIGN FOR INDUSTRY を設立。関わる全ての人とともに分かち合える “喜び”を創り出すことを信条に、家具や日用品から伝統工芸、家電、ロボット、先端技術研究開発、新素材開発、ビジネス開発、都市ブランディングなど国内外問わず多彩な領域にて、 “心地よい革新”という視点のもと、デザイン・クリエイティブディレクションを行う。 GOOD DESIGN AWARD、 GERMAN DESIGN AWARD winner、 Red Dot Design Award、 iF DESIGN AWARD など受賞多数。GOOD DESIGN AWARD 審査委員。
宮沢 哲 Tetsu Miyazawa
&design/ プロダクトデザイナー / LIFEWORKPRODUCTS ディレクター /

北海道東海大学芸術工学部デザイン学科卒。主にパナソニックモバイルコミュニケーションズ(株)、日本サムスン(株)を経て、 2007 年アンドデザイン株式会社を設立。プロダクトデザインを軸とした課題解決提案を得意とし、デザイン戦略から実商品に至るディレクション業務まで多岐に渡る国内外の企業プロジェクトに携わる。 iF GOLD AWARD、 Red Dot Award “ Best of the Best “ など国内外受賞歴多数。法政大学デザイン工学部兼任講師、日本デザイン振興会 グッドデザイン賞審査員、(株) NTT ドコモ プロダクトデザインディレクター兼務。
南出 圭一 Keiichi Minamide
&design / プロダクトデザイナー / LIFEWORKPRODUCTS 企画デザイナー /
岡山県立大学工芸工業デザイン学科卒、京セラ ( 株)、サムスン電子ジャパン(株)を経て、現職。国内外におけるデザイン賞受賞多数。

「こだわりにちゃんと付き合ってくれる人たち」であることが前提でした
Q. GLASSBACCA にご相談いただいたきっかけを教えてください
南出: GLASSBACCA さんを知ったのは、知人からの紹介でした。
ちょうど僕たちもダブルウォールグラスの開発を始めようとしていて、いろいろ探していた頃です。相見積もりを何社も取って比較するというよりは、まずは「この人たちは信用できるのか」「自分たちのこだわりにちゃんと付き合ってくれるのか」を重視していました。
僕たちがやろうとしていたことは、かなり細かくて、手間もかかるものだと思っていました。だからこそ、単に作れる会社ではなく、プロとして任せられる相手かどうかが大切でした。紹介してくれた方からも話を聞いて、「ここなら大丈夫そうだ」と思えたことが、相談のきっかけです。
初めてのダブルウォール開発。だからこそ、プロに任せたかった。
Q. 開発を進めるうえで、不安はありましたか?
宮沢: 僕たち自身、ダブルウォールグラスを開発するのは初めてでした。だから基本的には、プロの方に任せたいという気持ちがありました。
もちろん価格の話はかなりしました。
比較対象がなかったので、「この価格が妥当なのか」という感覚を持ちにくかったんです。
ただ、やり取りに関しては不満がありませんでした。
レスポンスも良く、プロジェクトのスピードも早かったです。
「びっくりするほど早くできた」という感覚があります。

現地まで足を運び、品質をすり合わせてくれた
Q. GLASSBACCA の対応で印象に残っていることはありますか?
宮沢: 現地に足を運んでいただいたことは、すごく大きかったです。
今回のグラスは、小ロットで、手作業が入る部分も多い商品でした。機械で一律に作るというより、手で作る工程が多いので、品質のすり合わせがとても重要でした。
特にデザイナーが気にしていたのは、細部の品質です。そこを確認するために、現地で検品していただいたり、工場と直接やり取りしていただいたりしました。
その費用や手間まで含めて考えると、むしろ安かったと思います。本当に感謝しています。
直線的なダブルウォールは、ごまかしがきかない

Q. 今回のグラスで、特に難しかった点はどこでしたか?
大槻: 一般的なダブルウォールグラスは、丸い形が多いんです。
ガラスは丸ければ丸いほど成形しやすいので、カーブの多い形状が多くなります。
でも今回のグラスは、直線と直線で構成された形でしたね。

宮沢: 少しでも内側と外側がずれると、すぐに分かってしまう。
ごまかしがきかない、作り手側からするとかなり厳しい形でした。最初に GLASSBACCA さんと話した時も、「製法上、こうなるかもしれません」という注意点をいろいろ聞けました。そのうえで進められたので、こちらも判断しやすかったです。
結果的には、気になっていたところがかなり改善されていました。
口当たりは、最後までこだわったポイントです

Q. デザイナーが特に重視していた部分は何ですか?
南出: デザイナーの北川さんが一番気にしていたのは、口当たりです。やはりグラスは、口に触れるものなので。
ダブルウォール構造だと、どうしても口元が厚くなりやすい。
でも今回は、できるだけ陶器のマグカップに近いくらいの自然な厚みにしたかったんです。
最後のサンプルでは、口元の厚みがかなり抜けていました。
昔のサンプルと比べると、違いが分かるくらい良くなっていました。そこも現地で調整していただいた部分です。
構成を変えながら、最終的にかなり良い形になりました。
「道具として使える」ダブルウォールにしたかった

Q. このグラスのコンセプトについて教えてください。
宮沢: ダブルウォールグラスは、世の中にはすでにたくさんあります。だからこそ、僕たちは少し違うものを作りたいと思っていました。
ただ見た目が変わっているだけではなく、食器としても使えるものにしたかったんです。
アイスクリームを入れたり、ディッピングのツールにしたり、飲み物以外にも使える。
そういう自由度のあるものにしたかった。その意味で、透明色は必ず入れたいと思っていました。道具として使うためには、透明色が外せなかったんです。
僕にとって「道具」とは、コップとしてしか使えないものではありません。
使う人の工夫で、何用にでもなれるもの。
今回のグラスは、本当に道具になったと思います。
試作を重ねることで、判断できる材料が増えていく
Q. 試作の回数も多かったようですね。
宮沢: 僕たちの商品は、比較的試作品を作る数が多いんです。
実際に作ってみないと分からないことがあるからです。「これは違う」と確認するために作ることもあります。
でも、作ってみたら意外と良かった、ということもある。だから試作では、残すなら残す、やめるならやめる、という判断をきちんとしていく必要があります。
そうしないと、最後まで決めきれなくなってしまいます。
今回も色や質感、使い勝手など、いろいろなサンプルを見ながら進めました。
途中で想定と違うサンプルが来たこともありましたが、それによって逆に「これは違う」と判断できた部分もありました。
GLASSBACCA がいなかったら、どこかで妥協していたかもしれません
Q. GLASSBACCA が間に入ることで、どのような違いがありましたか?
南出: もし大槻さんがいなかったり、積極的に動いてくれない方だったら、こちらの言いたいことが工場に伝わるまでに、かなりやり取りが発生していたと思います。
もしかしたら、うまくいかなかったかもしれません。
どこかで妥協しないといけない場面が生まれていたかもしれない。でも今回は、それがありませんでした。
こちらの意図を工場側にきちんと翻訳して伝えてくれたので、幸い、苦労はあまり感じませんでした。
もちろん、大槻さんは大変だったと思います。

お客様の反応も変わりました
Q. 完成後の反応はいかがですか?
宮沢: 売れています。僕たちの中では、きちんと売れている商品の部類です。
買われる方の客層も変わったと感じています。売れ方が全然違ってきているという実感があります。
また、プレゼントとして渡した時にも、「すごくきれいにできている」「使いやすい」と言っていただけています。良い商品になっているのだと思います。
お客様に説明すると、すごく響く商品でもあります。ただのグラスではなく、いろいろな使い方ができるものだと伝わると、想像を膨らませて購入してくださる方もいます。
飲み物を飲むためだけのグラスではない。そのことが、ちゃんと伝わっているのだと思います。
デザイナーの視点と、ものづくりの現実。その両方を満たせた
Q. 最終的な仕上がりについて、どのように感じていますか?
宮沢: デザイナーの視点は、本当に細かいです。理想があって、越えたいハードルが高い。一方で、現実にはコスト、納期、作りやすさ、お客様のニーズがあります。そのつじつまも合わせていかなければいけません。
今回は、デザイナーの視点をきちんとクリアしたまま、狙っていたコストにも収まりました。これはすごかったと思います。両方満足できる結果になったと思います。
実際に検品もしましたが、プロダクトに関しては不良として戻すものがありませんでした。
そこも非常に良かった点です。

ものづくりは、人次第だと思います
Q. GLASSBACCA とのものづくりを振り返って、どのように感じていますか?
宮沢: ものづくりは、人次第だと思っています。
合理的に考えれば、コストを下げることはできます。
でも、世の中に物がたくさんある中で、なぜ新たに物を作るのか。僕たちは、そこをよく考えます。
物を作るということは、資源をお借りして、それを労力で形にし、お客様に届けるということです。
だからこそ、刹那的なものではなく、きちんと作りたい。
その思いを共有できる人と仕事ができることは、とても大切です。
GLASSBACCA さんに感じたのは、すごく真摯に向き合ってくださっているということでした。
言いにくいことも、きちんと話せる関係だった
Q. 開発中のコミュニケーションはいかがでしたか?
南出: ものづくりをしていると、言いにくいことも出てきます。
お金の話もそうですし、「ここまで言ったら、もうここは飲まないといけないのか」と思うような場面もあります。でも、それを言わずに進めると、最後にわだかまりが残ることがあります。「もう少しやりたかった」と思ってしまうと、次につながらない可能性もある。
だから、言いにくいこともぶつけてみる。ぶつけたら答えてくれるし、無理なことは無理だと分かる。
それが分かれば、次に進めます。
GLASSBACCA さんとは、そういう話ができました。腹を割って話せたことは、すごく良かったです。商談中にも「今、工場に聞きます」とすぐ確認してくれて、動きが早かった。
スピードだけではなく、みんなで一緒に作っている感じがありましたね。

【あとがき 】
今回の開発が、次の商品づくりにもつながっている今回のプロジェクトは、単に一つの商品を作って終わりではありませんでした。お客様、デザイナー、工場、そして GLASS BACCA が、それぞれの立場から意見を出し合い、理想と現実の折り合いをつけながら、一つの商品を形にしていく。そのプロセス自体が、次の商品開発につながる成功体験になりました。
GLASSBACCA は、ただグラスを作る会社ではありません。
お客様の頭の中にあるイメージを整理し、製造現場と対話しながら、実現できる形へ落とし込むパートナーです。オリジナルグラスの開発には、図面や価格だけでは判断できないことが多くあります。だからこそ私たちは、企画、試作、工場調整、品質確認まで伴走し、ブランドの想いが伝わるグラスづくりをサポートしています。
オリジナルグラス製作をご検討の方へ
「まだ形が固まっていない」「既製品では表現できない」「デザイナーの意図をどこまで量産に落とし込めるか相談したい」そのような段階からでも、ご相談いただけます。
GLASSBACCA では、形状、素材、ロット、コスト、品質基準などを整理しながら、お客様のイメージを実現可能なグラスづくりへつなげていきます。
